去る2020/7/4にJDLAのG検定(2020年 第2回)を受験し、無事に合格しました。
G検定は比較的新しい試験であり、毎回のように「難しくなった」と評されることから、受験前に難易度はどれくらいなのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回はG検定の難易度がどれくらいなのかをご自身である程度判断いただけるように、また合格するのにどれくらいの学習が必要なのかを知っていただけるように、全くの素人の私が合格までに実施した学習内容を共有します。
試験の概要
まずは試験の概要に触れておきます。
そもそもG検定とは一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する検定試験です。
受験者は年々増加傾向にあり、下記の表のように推移しています。
【2020年 第2回 G検定】過去最高となる12,552人が受験し、AI活用の今後を担う 8,656人の合格者が誕生。 – 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
試験の内容はAI全般について問うものになっています(ディープラーニングの試験ではありますが、ディープラーニングに完全に特化した試験ではありません)。
ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する。
試験方式の詳細は公式サイトを見ていただくのが確実で早いですが、最大の特徴はオンラインで受験可能なことです。
要件を満たしたPCが手元にあれば自宅以外のカフェ等でも受験はできますが、やはり落ち着ける自宅での受験が良いでしょう。
何より自宅のパソコンでの受験が可能ということに伴い、普通にGoogleでの検索等をしながら問題に回答することができます。
ただし120分の試験時間に対して問題数が220問程度あり、試験時間対する問題数が非常に多いので、何も準備をせずに当日全ての問題を調べながら回答することは不可能です。
私が受けた2020年第2回のG検定は受験料がこれまでの半額でしたが、これから受験する方はご注意ください。
試験に向けて実施した内容
前提(学習前の自分のレベルとお断り)
最初に、学習を始める前の自分のレベルを伝えておきます。
AI、機械学習、ディープラーニングといった言葉は知っていましたが、学習を始めた時点で具体的にどういったものかは何も知りませんでした。例えば「教師あり学習」という言葉は知りませんでしたし、「自動車の自動運転」は自動車メーカーが力を注いでいるのは知っていても自動運転にレベルがあること等も知りませんでした。
もう一点。
こちらはお断りになるのですが、後述する6/10のタイミングまでG検定を受験するかどうか迷っていました。
自分としては5月末にエンジニアとして「機械学習」を学ぼうと考え、その時点でG検定の存在は知ってはいたものの、G検定に受かることを目的とした時間を取ることは無駄が多いと思っていたからです。
そのため下記の学習内容のうち特に6/10以前までの学習内容は、決してG検定の合格の最短ルートではなく、あくまで自分の実施してきた学習内容を共有するものです。
もう少し言うと、6月頭からAIに関する学習を始め、徐々に何かしら客観的な機械学習に関する成果を出すことの難しさを感じ始めました。
思い立ってから1ヶ月半が経つ7月半ばごろまでに何かしららの成果を出したいと考え、6/10以降はG検定の合格を第一の目標とした学習にシフトしたという流れでした。
書籍の購入
いよいよここからが本題。
私が合格までに実施した内容のご紹介です。
まずは購入した書籍についてです。
上述の通り直前まで受験するか迷っていましたが、こちらの定番書籍(通称黒本)のKindle版がたまたま1,155円になっていたので6/10に購入してG検定向けの学習を開始しました。
また6/10以前にJDLAが公開している推薦図書の中から「文系AI人材になる」と「ゼロから作るDeep Learning」、そして特に推薦図書ではないですが、古本で「機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで」、Kindle Unliitedを利用して「未来IT図解 これからのAIビジネス」も入手していました。
推薦図書の2冊に関しては推薦図書だから購入したというわけではなく、後から推薦図書を見たら含まれていたという状況です。
これから学習する方は推薦図書を色々と立ち読みしてみるのが良いと思います。
私としては5月半ばから「機械学習の学習をしようと」考えていたところで、思いつくままに購入した結果、上記の書籍を手に取っていました。
どの書店でも平積みで割とプッシュされていたので「文系AI人材になる」を買い、エンジニア向けには定番かつ名著と言われてたので「ゼロから作るDeep Learning」を買い、たまたま古本で安く売られていて分かりやすそうだった「機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで」を買い、Kindle Unliitedの対象で何かないかと探している時にたまたま知った「未来IT図解 これからのAIビジネス」を手に取りという感じでしたが、結果的にどれも良い書籍でした。
期間ごとの学習内容
ここから試験当日の7/4までに実施したことを期間ごとにリストアップしていきます。
6/1〜6/9(試験の33〜25日前)
まだG検定を受験する決断をしていない時期にAIに関連してやっていたことの紹介になります。
まずは輪郭を掴んだ方が良いと考え、「未来IT図解 これからのAIビジネス」、「文系AI人材になる」、「機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで」をじっくりと読むことに集中していました。
特に「機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで」は一度読んで理解できない部分は二、三度読み返したので、10時間ほどはかけたと思います。
この読書が後に様々な詳細を理解する基礎として非常に役立ちました。
「機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで」は2016年の書籍であり、勉強していくにつれて若干内容が古いと感じられる箇所もありましたが、出色の分かりやすさです。
機械学習を学び始めたいエンジニアがいれば一番に薦めたい書籍だと思っています。
6/10〜6/14(試験の24〜20日前)
ここから黒本を使い始めました。
まずは公式の例題を見た後に黒本に取り掛かり、解説を読みながら1周。
その後は黒本で出てきた内容に関して、上述の書籍内にも関連する箇所があれば書籍を読み直し。
また、この時期に下記のAI Academyの存在を知り、無料のコンテンツの内の興味があるものと黒本に関連するものには目を通しました。
AI Academyは基本的にエンジニア向けのコンテンツが非常に整理されて網羅的に用意されているので、無料のものはほとんど目を通しました(G検定では問われないと知りつつPythonのコンテンツ等にも目を通していました)。
AI Academyの内容をきちんと理解しようとすると時間がかかると思いますので、G検定に受かることが目標の方はサッと概要が掴めるくらいまで留めるのがおすすめです。
6/15〜6/26(試験の19〜8日前)
この時期は20〜30時間ほどの時間をかけて黒本の2、3周目に挑み、黒本内の約8割の問題に即答できるレベルに到達しました。
黒本の学習ばかりをやっていてすぐに飽きてしまったたので自分の興味が薄れないように「ゼロから作るDeep Learning」を読んだりもしていました。
この書籍は自分にはまだまだレベルが高く、3章までしかきちんと理解できていないのですが、Deep Learningの原理への理解が進み、モチベーションの維持につながりました。
6/27〜7/1(試験の7〜3日前)
この頃は受験が迫っているにも関わらず、G検定向けの学習は下記の模擬テストをじっくり1周したくらいでした。
この頃になるとKaggleやSIGNATE等の機械学習のコンペに挑戦することが興味の中心になってしまい、ほとんどG検定向けの学習はやらずに下記のデータサイエンス100本ノックをやったり機械学習の細かい理論を調べたりといったことばかりやっていました。
7/2〜7/3(試験の2〜1日前)
流石に追い込みの時期なので黒本と模擬試験をできる限りやりました。
できる限りと言ってもどちらも一周ずつくらいだったと記憶しています。
試験後の雑感
ここまで書いた学習内容を基に受験したのですが、当日は試験が難してく焦りもありました。
仮に黒本が完璧だったとしても確実に解ける問題は3〜4割くらいだったと感じます。
だからと言って黒本が役に立たないというわけではなく、黒本の知識を基に数秒で解けた問題があったことで、黒本の知識が役に立たない問題を調査する時間が確保できました。
全ての問題に完璧に対応できる力を身に着けるというよりも、確実にかつ素早く回答できる問題を少しでも増やしておくという考えで準備を進めるのが良い試験だと感じました。
参考
受験後に存在を知りましたが、充実したG検定対策の記事です。
合格の後日談
8/4に合格認証ロゴが届いたのでこの記事のアイキャッチに設定しました。
今回の試験日は7/4、合否の通知は7/16、合格認証ロゴの送付は8/4ということになります。
合格認証ロゴの送付は人によってタイミングの差があるとは思いますが、ロゴ取得まで1ヶ月かかっています。
もし合格認証ロゴが何かの事情でどうしても必要になるという方は時間がかかることに注意が必要ですね。
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