長期投資、特に定額のつみたて投資で資産を増やすのに重要なポイントは何でしょうか。
答えの一つは、日々の相場の動きに左右されず、一貫して投資を続けるマインドでしょう。
ここ最近の相場の動きの激しさは目を見張るものがありますが、激しい相場を見ても動じない軸を持った個人投資家の方を多く目にしてきました。
そんな投資家に倣えるような投資マインドを形作るのに役立つ「日本一カンタンな「投資」と「お金」の本」の紹介です。
本書は、個人的にも長期投資をする上でも重要だと考えている「ブレない投資マインド」を形作ることを勧めており、個人的に共感できる部分が多くありました。
随所で紹介されているデータも、長期のつみたて投資のメリットを具体的に伝えている良質なものが多いため、個人投資家の方に改めて長期投資への気概を与えてくれるものになっています。
ブレない投資マインド
長期投資を始めた投資家も2〜4年のうちに投資を辞めてしまう
著者の中桐啓貴氏の調査結果によれば、ネット証券に積み立て投資をしている投資家の平均積み立て期間は2〜4年間だったそうです。
なぜ多くの人が長期投資を始めてもすぐに(2〜4年間に)辞めてしまうのか、その答えは投資を始めた時の気持ちがマーケットの変動によってブレてしまうからでしょう。
この本の目的は、みなさんに投資の軸を持ってもらうことです。
日本一カンタンな「投資」と「お金」の本
ブレない投資マインド・投資の軸を持つために、本書では世界の株式に対して長期投資することの効果を具体的に紹介の前に資本主義・バブルの仕組み等の株価変動の背景ついてもわかりやすく説明してくれています。
昨今の世界の情勢もあり、いくつかのつみたてNISAの純資産額を見ても一時的に減ったものが多くあります。
特につみたてNISAで買えるような銘柄においては短期的なマーケットの変動を見て売り買いをするような銘柄はないはずです。
それにも関わらず純資産額下がっているというのは、つみたてNISAで積み立て投資をしている人の中にも投資の軸を持っていない人がいることを示していそうです。
マーケット変動の仕組み・長期投資のメリットを理解していないことが不安につながり、「投資をやめたい」という衝動を引き起こしているものと思います。
本書ではマーケット変動の仕組み・長期投資のメリットについて改めて学ぶことができます。
株式会社は複利マシーンである
株式会社の原理についても出色の分かりやすさを誇っています。
『複利』は利息をまた原本に組み込みます。(中略)
株式会社の仕組みも同じです。利益から税金、株主への配当金を払った後のお金は手元に残ります。そのお金を使って新しい設備や人を雇って、前年同期比での売り上げ増を目指していきます。
日本一カンタンな「投資」と「お金」の本
株式会社の仕組みが複利となっているというのはあまり聞かない表現でしたが、なんともわかりやすいです。
物価の上昇をおいておくとしても、適切に整備された株式市場における株式会社が自ずと成長するサイクルがシンプルに語られています。
株式に上昇を期待するというのは、株式会社に成長を期待することと同義ということでしょう。
株式会社が期待に応え成長しようとしてくれる原理を知ることは、長期投資をする上で自分がどういった原理に基づいて行動しているかを思い出させてくれるものと思います。
一貫した運用スキル
全世界株式型のインデックスファンドのうち信託報酬手数料の低いものを選ぶ
様々な原理・原則についての丁寧な解説を経て、投資の方法の話が出てきます。
この流れは読み手が納得感を得るための非常に親切な構成です。
具体的な投資の方法としては、見出しでほぼ言ってしまっていますね。
著者が勧める投資スタイルは、全世界株式型のインデックスファンドのうち信託報酬手数料の低いものに毎月の積み立てで投資していくというもの。
大枠で捉えれば私の中の投資の原則と全く一緒です。
本書の後半ではiDeCoやつみたてNISAの解説とともに、資産配分の例や運用のシミュレーションの豊富な図も掲載されており、これから資産運用を始める人が具体的なイメージを持ちやすい内容になっています。
この本を読むことによって、世界経済は今後も成長していくことに確信を持てましたでしょうか。
日本一カンタンな「投資」と「お金」の本
ブレない投資マインドとは結局のところ上記の確信を得ることなのでしょう。
私自身も改めて上記のポジションに対しても理解を深めることができました。
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本書はトウシルの連載の書籍化とのことです。下記に掲載されているのは本書の前半の部分です。
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