つみたてNISAって途中でつみたてが出来なくなることないの?
途中でつみたてできなくなる繰上償還というのがあるよ。
つみたてNISAでの投資信託購入において見落としがちな繰上償還のリスクについてご存知でしょうか。
この繰上償還は、つみたてNISAの長期計画を揺がす可能性のあるリスクなのですが、意外に初心者向けのつみたてNISAの記事で説明される機会が少ないように思います。
繰上償還に遭遇する可能性を減らす対策は、ポイントを絞って目論見書をきちんと読むことです。
今回は繰上償還とは何かという話に加えて、繰上償還の可能性を見るポイントも紹介していきます。
繰上償還とは
長期でつみたてる前に投資信託の運用が終わってしまうのが繰上償還だよ。
繰上償還を簡単に言うと、設定された信託期間の途中で投資信託の運用が終了してしまうことです。
例として楽天証券でつみたてNISAの一番人気の銘柄となっているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の目論見書を見てみると、以下のような繰上償還の条件が書かれています。
以下の場合等には、信託期間を繰上げて償還となることがあります。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)交付目論見書 2020.01.25
・受益権の口数が10億口を下回ることとなった場合
・対象インデックスが改廃されたとき
・ファンドを償還させることが受益者のため有利であると認めるとき
・やむを得ない事情が発生したとき
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託期間は無期限に設定されていますが、「償還となることがあります」とあるので、繰上償還の可能性は0ではありません。
繰上償還されるとどうなるか
繰上償還されるとつみたてたお金はどうなっちゃうの?
お金はちゃんと返ってくるよ。
繰上償還がされても資産がなくなるわけではありません。
基本的には保有口数に応じて償還金という形で現金は手元に戻ってきます。
つみたてNISAの繰上償還に備える
繰上償還の何が問題になるか
お金が返ってくるなら何が問題になるの?
つみたてNISAで繰上償還されても年間40万円の枠は復活しないよ。残りの枠を使って一からつみたてになっちゃうね。
銘柄も選び直しになるね。
お金は返ってきても長期計画は振り出しに戻ることになるね。
つみたてNISAの繰上償還で何が問題になるのかと言えば、「非課税枠が復活しない」という点でしょう。
つみたてNISAには年間40万円の非課税枠があるというのは周知の通りです。
繰上償還がされた場合、自身の選択でこれまでのつみたて分を売却した時と同じように、非課税枠は復活しません。
そうなると当然繰上償還が起きたからといって別の投資信託を一気に購入できるわけではありません。
これは長期投資で複利の恩恵を受けることが大事なつみたてNISAにおいて大きな不利益と言えるでしょう。
繰上償還の可能性を見るには何を見るか
繰上償還される可能性って何を見ればわかるの?
これを見ればわかるというのはないから、見た方が良いポイントだけ伝えるね。
つみたてNISAで繰上償還を避けるにはどうするのが良いかを単純に言えば、繰上償還の可能性が高い銘柄を買わないことでしょう。
しかしながら実際の繰上償還の可能性は誰にもわからないので、公開されている情報を基にその可能性を自身で判断することが必要です。
個人的には以下の観点から判断しています。
- 設定日が古い
- 純資産総額が50億円以上ある
- 純資産総額が右肩上がりである
- 対象インデックスに歴史がある
設定日が古い
設定日の古さは投資信託の運用実績の長さです。
やはりある程度実績のあるものを選びたいものです。
感覚の話でしかないですが、3年くらいだとまだ短いなという感覚で、5年くらい続いていると少しだけ安心と言った感覚です。
純資産総額が50億円以上ある
純資産総額に関してはある程度の規模があるかを見ています。
純資産総額の多さは投資家からの支持の多さです。
50億円というのは個人的な目安で、いくら以上だったら大丈夫という明確なラインはないので意見が分かれるところかと思います。
人によっては「30億円以上、できれば100億円以上」という人もいますし、「少なくとも100億円」という人もいます。
個人的によく耳にするのは「30億円以上」です。
純資産総額が右肩上がりである
純資産総額に関してはもう一つ、右肩上がりであるかを見ています。
多くの人がつみたてを継続していれば自然と右肩上がりになりますが、右肩上がりでなければ人気の下がっている銘柄であると判断しています。
対象インデックスに歴史がある
S&P500は言わずもがな、MSCIコクサイ・インデッスのような歴史のあるインデックスは今後も持続性が見込めます。
つみたてNISAでインデックスファンドの投資信託が人気を博していますが、長期投資が前提のつみたてNISAでは繰上償還リスクも考慮の上での銘柄選定が必要でしょう。
まとめ
繰上償還は完全に防ぐことはできないから、せめて非課税枠が復活するようになったら良いのにな。
つみたてNISAの投資信託の場合、つみたてNISAの対象となっている時点で比較的運用が安定していると見られており、その点から繰上償還の可能性は低いと言えるかも知れません。
ただし現状のつみたてNISAの仕組みでは繰上償還となっても非課税枠は復活しません。
いざ繰上償還が起きた場合に動揺しないように、銘柄選定の段階で頭の片隅に入れておいた方が良いでしょう。
投資銘柄を複数にするも対策の一つになるように思います。
今後、つみたてNISAで繰上償還された場合は非課税枠が復活するような制度変更がされるのが一番良いですね。
ぜひとも期待したいところです。
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